アーシュラマ「林住期」 インド流ミッドライフクライシスの克服法

インド流ミッドライフクライシスの克服法

アーシュラマの林住期とは

アーシュラマは、インドのヒンドゥー教における理想的な人生の四段階を指します。「林住期 (幻冬舎文庫)」という言葉は、古代インドの思想である「四住期」から来ています。 四住期は、人生を大きく四つの時期に分ける考え方で、その中の「林住期」は、一般的に50歳以降、定年退職などを機に社会的な役割から解放され、自己の内面に向き合う時期を指します。

五木寛之さんの著書『林住期』は、人生の後半、50歳から75歳までの25年間を「林住期」と名付け、この期間こそが人生のピークであり、自由に生き甲斐を求めるべきだと説いています。

その四段階は、

  • 学生期(ブラフマチャリヤ)
  • 家住期(ガルハスティヤ)
  • 林住期(ヴァーナプラスタ)
  • 遊行期(サンニャーサ)

林住期は、この四段階の3番目に位置し、家庭の責任から解放され、精神的な探求に没頭する時期とされています。

家住期との違い: 家住期は、家族や社会のために働き、責任を果たす時期です。林住期は、これらの義務から解放され、自己実現に向かって自由に生きる時期となります。
生き方の転換: これまでの「生きるために働く」という価値観から、「働くために生きる」という価値観への転換を促します。
自由な時間と心の豊かさ: 時間的な余裕と経済的な安定を得た上で、自分の興味関心に従い、心豊かな生活を送ることを提唱しています。

林住期の意義と目的

林住期は、単なる老後の準備ではなく、人生における重要な転換期(トランジション)と位置づけられています。この期間の主な目的は、以下の通りです。

  • 物質的な欲求からの解放:
    家庭や社会的な地位、財産など、物質的なものに執着することから解放され、心の平穏を得ること。
  • 精神的な成長:
    瞑想、ヨガ、哲学などの修行を通して、自己認識を深め、霊的な成長を遂げること。
  • 社会への貢献:
    知識や経験を活かし、後進や社会に貢献すること。
  • 死の準備:
    老い、病、死を意識し、死後の世界について深く考えること。

林住期の具体的な実践

林住期における具体的な実践は、個人によって異なり、時代や地域によっても変化しますが、一般的には以下の様なものが挙げられます。

  • 森林や聖地での修行: 自然の中で瞑想やヨガを行い、心を清める。
  • 師事: グルと呼ばれる霊的な師に教えを請い、精神的な成長を促す。
  • 奉仕活動: 寺院やコミュニティで奉仕活動を行い、社会貢献を行う。
  • 経典の研究: 古代インドの聖典を学び、哲学的な思考を深める。
  • 家族との関係の見直し: 家族との関係を見直し、新たな関係を築く。

日本の林住期の現状

日本において、林住期は近年、特に注目されています。これは、平均寿命の延びや、定年退職年齢の引き上げなど、社会構造の変化が背景にあります。

  • 多様な生き方:
    林住期は、かつてのようにただ静かに余生を送るだけでなく、ボランティア活動、学び直し、趣味の深耕、旅行など、非常に多様な過ごし方を選択できる時代になりました。
  • 健康への意識の高まり:
    健康寿命を延ばし、より充実したセカンドライフを送りたいという意識から、健康への関心が高まっています。
  • 社会貢献:
    経験や知識を活かして社会貢献したいという意識も強まっており、NPO活動や地域活動などに参加する人が増えています。

現代社会において、林住期の概念は、そのままの形で実践されることは少ないかもしれません。しかし、林住期が提唱する、物質的なものからの解放、精神的な成長、社会への貢献といった考え方は、現代人にとっても重要な意味を持ちます。

現代社会は、多忙でストレスが大きく、人々は心の安らぎを求めています。林住期の考え方は、そんな現代人に、自分自身と向き合い、心の平安を見つけるためのヒントを与えてくれます。また、社会貢献の重要性も再認識させてくれます。

・林住期に関する注意点
林住期は、必ずしも全ての人のためのものではありません。現代社会では、経済的な理由や家族の事情などにより、林住期を送ることが難しい人もいます。また、林住期に入る年齢も、昔と比べて変化しています。

まとめ

林住期は、以下の3つの側面から捉えることができます。

  1. 個人の精神的な成長: 物質的な欲求から解放され、自己認識を深めることで、心の平安を得る。
  2. 社会への貢献: 知識や経験を活かし、社会に貢献することで、より豊かな人生を送る。
  3. 死の準備: 老い、病、死を意識し、有限な人生の意味を深く考える。
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